10の思い込みを排除し正しい情報の見方を学ぶ ファクトフルネス 徹底レビュー

書籍レビュー

【1】はじめに

今回のレビュー記事は『ファクトフルネス』です。
ビルゲイツやオバマ元大統領が『大絶賛した本』
として有名ですよね。

中でも、ビルゲイツがアメリカの大卒学生の
希望者全員に本書をプレゼントした、という
エピソードは有名です。

著者はハンス・ロスリングという方でWHOや
ユニセフ、その他の援助機関で保健アドバイザー
を務めたり。誰もが聞いたことはあるであろう
『国境なき医師団』の設立メンバーのひとり
でもあります。

本書の中では、読者へ著者からいくつかの質問を
投げかけており、その問題の解説を行いながら
読み進めていく、という構成になっています。

このレビュー記事でも始めに、質問の中から幾つか
を抜粋して皆さんへお届けしたいと思います。

3択問題となっているので、答えを想像しながら
読み進めていってください。

[第1問]
世界中で極度の貧困にある人の割合は
過去20年でどう変わったでしょうか?
A.約二倍になった
B.あまり変わらない
C.半分になった

[第2問]
世界中の1歳児で予防接種を受けられて
いる割合はどれくらいでしょうか?
A.20%
B.50%
C.80%

[第3問]
15歳未満の子供は現在世界に約20億人
います。国連の予測によると、2100年
に子供の数は約何人になるでしょう?
A.40億人
B.30億人
C.20億人

皆さんはいかがでしょうか?
正解はどちらもCなんですよね。

どちらの問題も世界的な権威ある専門家で
あったり実業家であったりでも
正解率はわずか10%に満たないものでした。

学力の高さと、この問題との正当率に因果関係は
なかったそうです。

3択なので、チンパンジーでも正解率は33%
なのに人間はそれ以下
だと話しています。

なぜ、この問題に正当出来る人がすくないのか?
それは
『バイアス』という思い込みこそが
人の判断を誤らさせる

というのが著者の主張なんです。

『正しいデータをもとに物事を判断をしよう』
というのが、本書のメインテーマです。

私たちの固定観念が世界の様相と、どれだけ
乖離があるのかをこれから一緒に見ていきたい
と思います。

本記事の目次はこのようにしました。
【1】はじめに
【2】本書の出版までの背景
【3】10の思い込みの要約

   ①分断本能
   ②ネガティブ本能
   ③直線本能
   ④恐怖本能
   ⑤過大視本能
   ⑥パターン化本能
   ⑦宿命本能
   ⑧単純化本能
   ⑨犯人捜し本能
   ⑩焦り本能
【4】分断本能の解説
【5】ネガティブ本能の解説
【6】直線本能の解説
【7】あとがき的なもの

では、順にみていきましょう。

【2】本書の出版までの背景

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この本の内容より先に、どのように出版されたのか
ここを知っておくとこの先の理解に大きく影響を
与えると思うので、共有しておきます。

この本が出版されたのは2018年4月3日です。
今では世界的ベストセラーとなっています。
その印税たるや膨大なものになっていたはずです。

なぜ過去形なのかというと、著者のハンス医師は
2017年2月7日にすい臓がんで
既に死去されています。

本書の執筆中に末期のすい臓がんが発見され、
その後の講演活動などをすべてキャンセルして
残りの人生をすべてささげたのがこの
『ファクトフルネス』です。
執筆はご家族のかたで続け、完成しました。

印税でしこたま儲けてやろうとか、そういう
気持ちは一切ないんです。『己の人生の集大成』
として後世に残しておきたかったことが
凝縮されているんです。
学べないはすがありませんよね。

【3】10の思い込みの要約

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この本の副題になっているのは
10の思い込みを乗り越え、データを基に
世界を正しく見る習慣
です。人間には『10の思い込み』というものがある
ということですね。
思い込み=本能 として本書では
取り扱っています。

以下に
・本書で語られている10の本能
・それぞれの引用
・解決策

をはじめにまとめます。
このうちいくつか印象に残ったエピソードを
さらに解説するという順序で進めていきたい
と思います。

①分断本能

「世界は分断されている」という思い込み
[引用]
人は誰しも、さまざまな物事や人々を
2つのグループに分けないと気が済まない
ものだ。そして、その2つのグループの
あいだには、決して埋まることのない溝が
あるはずだと思い込む。これが分断本能だ。
この本能に抗うには
『大半の人がどこにいるのかを探そう』

2つに分断されるものなど基本的にはないことを
前提に物事をみる必要があります。
データの分布をしっかり確認し、どこが一番
ボリュームが多いのか見極めましょう

②ネガティブ本能

「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
[引用]
人は誰しも、物事のポジティブな面より、
ネガティブな面に注目しやすい。
これはネガティブな本能のなせるわざだ。
この本能に抗うには
『悪いニュースのほうが広まりやすいと
 覚えておこう』


必要以上にネガティブ思考にならないことは
正しい情報を収集することにおいて大切です。
これらの事を意識しましょう。
・良い出来事、ゆっくりとした進歩はニュースに
 なりにくい。
・悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えた
 とは限らない。

③直線本能

「世界の人口はひたすら増え続ける」という
思い込み
[引用]
何かの現象をきちんと理解するには、グラフの
形をきちんと知ろう。そして、グラフで
示されていない部分がどうなっているかを、
不用意に憶測しないこと。
この本能に抗うには
『直線もいつかは曲がることを知ろう』

実際の世の中のデータは直線的なグラフになること
はそれほど多くない、という事を認識しましょう。
グラフの先はこれまでと同じとは限らない
とうのみにしないことが重要です。
大抵のグラフはS字、台形、倍増型など様々な
形になります。

④恐怖本能

危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう
という思い込み
[引用]
恐怖と危険は違うことに気づくこと。人は誰し
も「身体的な危害」「拘束」「毒」を恐れて
いるが、それがリスクの過大評価につながって
いる。恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく
計算すること。
この本能に抗うには
『リスクを計算しよう』

メディアが人の恐怖本能を利用し、少数であっても
恐怖を煽るニュースを大々的に取り上げます。

現状が悪いからといって、これからもずっと悪い
という保証は全くありません。
『世界が良くなっているというニュースはほとんど
報道されない』という事を認識しましょう。

実際に世界は昔よりも飢餓や乳幼児の死亡リスクは
減り、戦争やテロで命を落とす人も減っています。
確実に良くなっていっているんですね。

目にしたネガティブなニュースのみを切り取る
のではなく、依然と比べてどうなのか?という
視点も持つように心がけましょう。

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⑤過大視本能

「目の間の数字がいちばん重要だ」という
思い込み
[引用]
人はみんな、物事の大きさを判断するのが
下手くそだ。もちろん、それには理由がある。
何かの大きさや割合を勘違いしてしまうのは、
私たちが持つ「過大視本能」が原因だ。
この本能に抗うには
『数字を比較しよう』

目の前の数字のみではなく、全体に含まれる割合が
どれほどなのか?と調べてみることが大事です。

一見大きく見える数字でも、視野を広くすると
普通のことだったということがありえます。
何かと比較せずに大きい、小さいなどの判断を
してしまうのは危険ですよね。

⑥パターン化本能

「ひとつの例がすべてに当てはまる」という
思い込み
[引用]
人間はいつも、何も考えずに物事を
パターン化し、それをすべてに当てはめて
しまうものだ。しかも無意識にやってしまう。
この本能に抗うには
『分類を疑おう』

本書では以下のように述べられています。
・同じ集団の中の違いと、違う集団のあいだの
 共通点を探す
・「過半数」に気をつける
・「例外」に注意する
・自分が「普通」で、自分以外はアホだと
 決めつけない

ある程度「決まり」「パターン」のようなものは
思考停止状態で繰り返しやれるものが大半なので
必ずしも悪ではありません。

ただ「正しい情報の見方をする」という場合に
おいてこの「パターン化」という行為は思考を
挟まないのでとても危険な存在となってしまいます。

⑦宿命本能

「すべてはあらかじめ決まっている」という
思い込み
[引用]
宿命本能とは、持って生まれた宿命によって
人や国や宗教や文化の行方は決まるという
思い込みだ。
この本能に抗うには
『ゆっくりとした変化でも変化していることを
 心に留めよう』


「変化は起きる」「変化は起こせる」ということを
常に頭の片隅に置いておくことが大切です。
知識を新鮮に保つために知識をアップデートする。
おじいちゃんやおばあちゃんの話や過去の歴史を
知り、どれほど「変化」が起きているのかを
理解しましょう。

⑧単純化本能

「世界はひとつの切り口で理解できる」という
思い込み
[引用]
世の中のさまざまな問題にひとつの原因と
ひとつの解答を当てはめてしまう傾向を、
わたしは「単純化本能」と呼んでいる。
この本能に抗うには
『ひとつの知識がすべてにおいて応用
 できないことを覚えておこう』


問題は様々な要因が影響しあって引き起こしている
場合が大半であると認識しましょう。
ハインリッヒの法則などはその最たる例です。

原因や解決策を単純化してまとめてしまうと
解決に失敗してしまいます。必ずしも問題の答えが
1つの方向から導き出されるとは限りませんし
1つ成功すれば全てが成功するわけでもない
ということを認識しましょう。

⑨犯人捜し本能

「誰かを責めれば物事は解決する」という
思い込み
[引用]
なにか悪いことが起きたとき、単純明快な
理由を見つけたくなる傾向が、
犯人捜し本能だ。
この本能に抗うには
『誰かを責めても問題は解決しないと
 肝に銘じておこう』


犯人捜しをして一人に責任を押し付けてしまう方が
簡単で楽なのでそうしてしまうのが人間の本能です。

物事がうまくいかないタイミングで犯人捜しに
よって問題を解決しても、問題の根本的な要因の
改善が成されないままなのでその後の失敗の数は
減ることがありません。

犯人捜しではなく、その状況を生み出した複数の
原因やシステムに問題解決のフォーカスを
あてるべきです。

⑩焦り本能

「いますぐ手を打たないと大変なことになる」
いう思い込み
[引用]
いますぐ決めろとせかされると、批判的に
考える力が失われ、迅速に判断し
行動してしまう。ひと息つこう
この本能に抗うには
『小さな一歩を重ねよう』

冷静かつ的確な判断をするためにかける時間は
時として目に見える以上の価値を持っている
可能性があります。

人は急かされてしまうと思考力や判断能力は
想像以上に低下します。

モザンビークで疫病が蔓延した際、外部と
隔離した際に閉じ込められたと感じた住民たちは
村を脱走しそれが原因で命を落とした人が
たくさんいたというエピソードがあります。

これ以上の感染拡大を阻止しなければ、という
焦りから最善な解決策を模索できずに結果と
して無くなる必要のない命まで失うことに
なってしまいました。

急かされる判断をしないといけない際にはこれらの
ことを意識しましょう。
・深呼吸する
・データにこだわる
・過激な対策(の副作用)に注意する

【4】分断本能の解説

人間は『白と黒』、『正義と悪』さらには
『勝ち組と負け組』といった具合に物事を2つに
本能的に分けてしまう
というものです。

例えば 『富裕層と貧困層』『先進国と後進国』
このようなことを思われる方が多いと思います。

この格差は年々、ひどくなっていると
思いませんか?実際はそんなことはありません。

極度の貧困に悩む国や地域に暮らす人は
世界人口の70億人に対して、わずか9%

である、とデータをもとに著者は話しています。

残りの約60億人は貧困の中に暮らしてはいない
んですね。

分断本能によって相反するふたつのグループに
まとめてしまいたくなりますが、実際の世界は
そんなことはなく『4つのレベル』に分けて
捉えるべきと述べています。

レベル1
・1日2ドルで生活
・移動は徒歩
・調理は炭火や直火
・水道はなくバケツで泥水を汲みに行く
この暮らしをしている人は約10億人

レベル2
・1日4ドルで生活
・移動は自転車
・調理はガスボンベを使用
・水道はなくバケツで水を汲みに行く
・電気を使えるようになる
この暮らしをしている人は約30億人

レベル3
・1日16ドルで生活
・移動はバイク
・簡易コンロを利用
・水道が使える
・冷蔵庫が使える
・近所に旅行に行ける
この暮らしをしている人は約20億人

レベル4 日本の生活水準
・1日32ドル以上で生活
・移動は車
この暮らしをしている人は約10億人

このように、世界は富裕層と貧困層に分断されては
いないんですね。

以下に
平均寿命と収入の関連を示したバブルチャートを
載せます。1950年2019年のものです。

1950年 縦軸:平均寿命 横軸:収入
2019年 縦軸:平均寿命 横軸:収入

円は世界各国の人口分布を示しています。
約70年で左下にあった塊が右上の方へ推移したのが
良く分かります。

レベル2、レベル3で最も比率の多い50億人が
暮らしています。

このように、分断された世界などありません。

分断本能を遮断するには、分布のどこに最も
ボリュームがあるのか、を見極めることです。

【5】ネガティブ本能の解説

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これは無意識に世界や物事は悪い方向に向かって
しまっていると思い込んでしまう
という本能です。

環境はどんどん破壊され、飛行機事故は
頻繁に起こり、感染症や飢餓で命を落とす人は
どんどん増えていっているといったものです。

これらは正しい世界が見えていません。
実は全部もれなく改善されています。

オゾン層の破壊について昔は言われていましたが
今ではほとんど収まっています。

飛行機事故に関しても通常ですと企業秘密のため
事故原因などは外部に漏らしていないと
思われます。

ですが、現実はそんなことはなく飛行機事故に
関しては必ず些細なことでも情報開示をするよう
国際的に決められています。

その結果、世界中でも今では年に数回までに
激減しています。

問題は、私たちが目にするニュースは基本的に
ネガティブなものが多いという性質を持っている
からです。

テレビで日々目にしているニュースには
良いニュースは基本的に流れないですよね。

飢餓で苦しむひとが激減しています!
飛行機事故はここ50年で9割少なく

なっています!

など、良いニュースは報道されないんです。
なんでだと思います?
これには明確な理由があります。

それは、報道を担うテレビ局にとって一番に
求めるべきは世界平和ではありません。
視聴率です。

たくさんの人に見てもらう事で、広告費を
貰っているスポンサーに還元しているんです。

人にはネガティブ本能があります。
無意識にネガティブなものに人は集まる性質
があるんです。

上記のような良いニュースに関心を寄せる人は
ほとんどいないでしょうから無理もない話では
あると思います。

報道されないのでこの本で知る以外には自分で
調べてみないと分かりませんが、少しづつ
世界は良くなっている。
として以下を挙げておきます。

例えば貧困の割合。レベル1に属していた人は
1997年には全世界の29%でした。
これが2017年には9%にまで減少しています。

もう一つは平均寿命
1973年の世界の平均寿命は60歳でした。
これも現在は70歳。約50年で10年も
伸びています。

乳幼児の死亡率が下がったこと、十分な栄養を
摂取できている人が増えている。これらのことが
要因として考えられます。

『ポジティブ脳でいることが幸せを引き寄せる』
というのを幸福優位7つの法則で学びましたので
私は意識的にテレビは見ないようにしています。
数日もすれば慣れますよね。

与えられた情報だけをうのみにするのではなく
正しいデータを調べてみることも大事です。

【6】直線本能の解説

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本書ではこの直線本能は世界の人口増加について
述べていました。

ほんの30年前では、人口爆発の流れは止められず
人類には世界的飢餓が押し寄せると言われていた
時代がありました。

ですが、最近の研究ではおそらく世界人口は
100億人~120億人で人口の増加は止まるという
見方が主流になりつつあります。

これには、世界的に生活水準が向上してきている
ことが要因にあります。

今でこそ日本はレベル4の生活水準で暮らして
いますが、ひと昔まえはレベル2、レベル3の
生活が主流でした。

同時に、生涯に子供を産む人数も6人とか7人、
今の生活では考えられないくらいの子供を産んで
育てていました。

それには理由があり、今よりも大人になる前に
亡くなる子供の数が多かったから
です。

生活の水準があがれば、必然的に亡くなる子供の数
は減ります。

おのずと生活レベルの維持を鑑みてむやみに
子供を産み育てるという事は行われなくなります。

今の日本ではレベル4に達していますので
子供は1~2人という家庭が多いですよね。

これと同じことが生活水準が上がってきた国で
起きると言われています。
いずれは人口増加率は横ばいとなるそうです。

【7】あとがき的なもの

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今回は『ファクトフルネス』について
レビューしました。

この書籍を学ぶにあたって、一番に痛感したのは
過去の知識ほど役に立たないものはない
という事です。

世界は日々変わっていっている、
中には悲劇に見舞われることもありますが、
それでも人類は進歩している。
ということを知れて本当に良かったと思います。

割愛しましたが、他にも世界が良くなっている
という例をいくつか挙げていきます。

減っているもの
・合法的な奴隷制度
・乳幼児の死亡率
・HIVの感染
・戦争、テロでの死者

増えているもの
・女性が教育を受ける割合
・電気の利用率
・安全な飲料水
・科学の発見

ビジネスの場でも目の前に見える情報を
鵜のみにしない慎重さを身に着けることが
出来ます。

データを正しく活用することは
正しい意思決定に繋がってくるかと思います。
ぜひ皆さんも本書を手に取ってみて下さい。

『知識とは『置識』なのかもしれません。
置いたままにしていくと、どんどん

時代の流れに置いて行かれます。
アップデートし、新しいことを知っていくこと
こそが本当の知識と言うのではないでしょうか。

では、最後までご覧いただき
ありがとうございます。

また次回☆ミ

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